舘山寺さんぽVol.12
大学生の浴衣さんぽ
こんにちは!「ゆうと」と「かな」です。舘山寺門前通り公式サイトの管理人をしております。
舘山寺門前通りの魅力を多くの人に知っていただくため、舘山寺への移住者でもある私たちが、実際にさんぽしながら舘山寺の魅力を伝えていきたいと思っています。私たちや舘山寺さんぽについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
今回は特別編です!浜松市内の学生さん4人組が、舘山寺をさんぽして記事にしてくださいました。私たちとは違った視点から、舘山寺門前通りの魅力を見つけてくれたはずです!
それでは、大学生の舘山寺さんぽをご覧ください!
プロローグ
「おぉー!可愛い!!!」
女性陣の浴衣姿に歓声が上がる。
蝉が鳴く8月。夏の思い出を作るため、大学生4人で「浴衣さんぽ」をしに来た。
浴衣で、舘山寺を歩く。
(浴衣なんて何年ぶりだろう・・・)
騒めく心を落ち着かせながら、浴衣に片腕を通す。
本日のさんぽコース
焦がれるような暑さの中、大学生4人は以下のコースで浴衣さんぽを行った。
①手作り体験工房ルーベラ
②門前通り散策
③KUSHITANI CAFE KANZANJI
④曹洞宗 秋葉山 舘山寺
⑤うなぎ専門の店 志ぶき
⑥大村酒店
手作り体験工房ルーベラ
蝉が鳴く8月。夏の思い出を作るため、大学生4人で「浴衣さんぽ」をしに来た。
「お!見えてきた!」
舘山寺ベイストリートを走る車内で山田先輩が言う。
山田先輩は研究で知り合った大学の先輩である。
まず、浴衣レンタルと着付けの予約をしている『手作り体験工房ルーベラ(浜名湖パルパル併設)』を訪れた。
女性陣の着付けを待つ間、私は店内をそぞろ歩きながら、並ぶ商品たちにひとつひとつ目を向けた。わんわんコーナーという文字が目につく。可愛いらしいわんちゃん専用のオリジナルグッズが多く販売されている。
ここ、手作り体験工房ルーベラは、可愛いらしいガラス製のミニチュアアイテムやオリジナルアクセサリーの購入、そして手作り体験ができるお店だ。スノードーム、ブレスレット、ネックレス、フォトフレーム、タンブラーなどを作ることができる。東海地方最大級の部品の取り扱いがあり、単品でパーツだけを買いに来る人もいるとのこと。
ガーベラが閉じ込められたスノードーム。狭い世界で強く花弁を広げるガーベラはまるで、窮屈な世界を越えて輝く希望の光のようだ。
(ん・・・ひょっとして、 “ルーベラ”という名前の由来ってそういうことなんじゃ・・・)
「すみません、ルーベラの名前の由来ってガーベラですか?」
店員さんに伺う。
「ラテン語で、赤という意味です。」
(なるほど、そういうことか・・・) 私の予想は外れてしまったものの、店内カラーの赤が腑に落ちた。赤は力強い色だと思う。舘山寺の至るところにある「赤」は舘山寺の強いエネルギーを象徴する色だ。
「おぉー!可愛い!!!」
着付け部屋の方から突然歓声が上がる。
どうやら女性陣の着付けが終わったようだ。
浴衣の着付けには、事前予約が必要である。きものライフで取り扱われる着物と浴衣は約6,000円~(着付けが+2,000円)で着付けしてもらうことができる。詳しくはルーベラさんに問い合わせていただければ安心だ。さらにルーベラさんでは、500円~1,000円のリサイクル浴衣や羽織が販売されており、コスパ良く手軽に楽しむことができるかもしれない。二人は和風モダンな浴衣をチョイスしたようだ。
やはり、女性は映える。山田先輩も二人の浴衣姿に思わず視線を奪われていた。
「次は、男性方の番です。」
店員さんに呼ばれ、着付けを開始した。
(浴衣なんて何年ぶりだろう・・・)
騒めく心を落ち着かせながら、浴衣に片腕を通す。
鏡に映る自分は、いつもより凛々しく、引き締まっているように思えた。
この気持ちはなんだろうか。
浴衣を身にまとうだけで、今まで有象無象だったはずの自分が主人公のようだ。
「海外の方もたまに来られるのですが、下駄で歩くのが大変なので、写真を撮る時だけ履き替えることを提案しています。」
なるほど。たしかに、下駄の紐が少し痛いように感じる。
しかし、せっかくの浴衣さんぽにもかかわらず、スニーカーを履くなんてナンセンスだ。
今日は少しだけ、痛みを我慢して歩こう。
10分ぐらいで着付けが終了し、舘山寺へ歩き出した。
手作り体験工房ルーベラの店舗ページはこちら
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門前通り散策
(・・・!!?浴衣って意外と涼しい・・・!)
気温は30℃を越えており、“汗だくさんぽ”を予想していたが、想像以上に遠州風が軽やかに生地を通り抜ける。その心地よさは、夏の暑さを忘れさせてくれるほどだ。
授業のことや、バイトのこと。
そんな些細な事を談笑しながら歩く。浴衣で、舘山寺を歩く。
それだけで僕らはこの町の景色に溶け込み、舘山寺の主人公になれる。
まずはフォトスポットを探しに行こう。
舘山寺を見渡せば、撮影すべき瞬間が多く潜んでいる。
最初はここ、志ぶき橋だ。志ぶき橋は門前通り側と浜名湖側で異なる姿を見せる。
門前通り側からは、アングルによって様々な要素を取り込むことができ、赤い志ぶき橋、ヤシの木、松、浜名湖、石碑など、文化の融合を1枚の中に映し出せる。
浜名湖側からは、ノスタルジックな建造物群をバックにすることで、時間が止まったような、どこか不思議で懐かしい雰囲気が漂う空間を収めることができる。まるでジブリのワンシーン。
「舘山寺はジブリっぽいよね。」
一人がそう呟いた。
ジブリ視点で舘山寺を見ると、志ぶき橋も『千と千尋』に出てくるあの橋に見えてきた。
様々な物がジブリに感じてきた。(昭和レトロと形容するのが正しいかもしれない)
少し前の時代にタイムスリップしたかのような感覚だ。唯一無二の風景がそこら中に広がっている。
女性陣は、浜名湖チャペルのピンクの壁に可愛さを見出し、撮影を行っていた。
(「可愛い」の定義って、わかんねぇ・・・)と、つい呟きそうになり押し留める。
「さ、さあ、次の場所に行こうか。」
次に訪れたのは門前広場。
門前広場は門前通りの中間地点に位置する石畳の敷かれた広々としたスペースで、観光客の憩いの場となっている。イベントの時には多くの人で賑わう、門前通りの中心的なスポットだ。
なんと偶然遊覧船が停泊しており、エモーショナルな一枚を撮影することに成功した。
(遊覧船、松、浴衣、石畳・・・こんなの、令和のZ世代が思い描く“エモい“昭和レトロの権化じゃないか!!!)
Z世代の感覚がわからないという声をよく耳にするが、この感覚がわからないのはもったいないと思う。 私も、女子の言う「可愛い」がわからないので何も言えないが。
広場に休憩所があったが、そこにあった円が、また「可愛い」らしい。
(まあこれは「可愛い」か・・・)
休憩所は日陰になっており、非常に涼しかった。
門前広場では定期的にライブイベントや出店などが行われているそうなので、気になる方はぜひチェックしてほしい。
「ちょっと疲れてきたから、あのお店で休憩しよう!」
たしかに、浴衣が涼しいとはいっても少し疲れてきた。
せっかくなので、近くにあったKUSHITANI CAFE KANZANJIに立ち寄ることにした。
KUSHITANI CAFE KANZANJI
エアコンの風が身に染みる。木々の優しさが落ち着く。
KUSHITANI CAFEは、ツーリング好きやバイカーたちに人気のカフェだ。
ここではジェラートやホットドッグ、ドリンクなどが購入できる。
特に23cmもあるホットドッグが人気でおすすめとのことだったが、この暑さの前では冷たいもの以外目に入らなかった。
それぞれジェラート(塩キャラメル、マンゴー、クリームチーズとドライフルーツとアーモンド)(470円)とクラッシュアイスストロベリーショコラLサイズ(780円)を注文した。
生き返る。
やはり、夏のアイスは正義だ。
アイスを作り出した過去の誰かに心から感謝したい。
KUSHITANI CAFE KANZANJIの店舗ページはこちら
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曹洞宗 秋葉山 舘山寺
アイスで体も癒えたので、舘山寺本堂へ向かう。
下駄で階段を上るのは容易だった。
階段も段数が多いわけではないので、あっという間に境内へ。
無数の風鈴の音が心を凪いでいる。
舘山寺は縁結びのお寺である。絵馬には恋を煩う人々の願いが記されていた。
お守りや絵馬の種類も豊富だ。
人々の願いを眺めていると、一人が突然腕相撲大会を提案し始める。
(???????)
状況も意図も全く理解できないが、強制的な雰囲気に負け腕相撲を行った。
(何をさせられてる・・・?)
状況がつかめないまま試合は終了し、特に何の感想もないまま腕相撲大会は終了した。
切り替えが早い。スピード感についていけない。
(山田先輩、わかりますか?この感zy・・・)
振り返ると山田先輩は舘山寺に浸っていた。
(・・・・・・)
お腹がすいたので、境内を後にすることになった。
曹洞宗 秋葉山 舘山寺の店舗ページはこちら
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うなぎ専門の店 志ぶき
ようやく、メインイベントである鰻に辿り着いた。
うなぎ専門の店 志ぶき。
いつも行列のできる人気の鰻店だ。
店の外にも、香ばしい匂いが漏れ出している。 うなぎの形をした地蔵であるうなぎ地蔵も「可愛い。」
いざ、入店。
箸にはうなぎ地蔵がデザインされている。このお店も赤がテーマカラーのようだ。
まずジンジャーエールを注文。
ジンジャーが強めで、喉の奥に温かい刺激が広がる。
その余韻は心にまで浸透する。
うなぎのうちわも配布されており、お土産にもぴったりだ。
そして、メインのうなぎはおひつまぶし(5,380円)、おひつまぶし白焼き(5,380円)、プチまぶし(3,350円)、プチまぶし白焼き(3,350円)を注文。
待ちに待った瞬間だ。
まずは何もつけずに、蒲焼きをそのまま口に運ぶ。
(・・・)
(・・・)
美味しい?
至高の一品?
絶品?
いや、そんなありふれた言葉では収まらない。
口いっぱいに広がるのは、決して形容することのできない感覚だった。
味蕾がやられてしまった。その味を表現しようと必死に頭を動かそうとしても、脳内は味覚のみが先行した。
どれくらい時間が経過しただろうか。 ふと我に返り前を見ると、皆それぞれ鰻と見つめ合っていた。
志ぶきで特徴的なのは様々な薬味である。
何もつけなくても美味しいこの鰻を、さらに進化させる者たちが肩を並べている。
二種類の山椒、梅、胡麻、青じそ、昆布だし、餡かけ、ねぎ、わさび、醤油・・・
特に、梅。梅を薬味として採用した最初の店舗だそうだ。
メニューの横には、おひつまぶしの食べ方が記載されている冊子があった。
ねぎ&わさび、胡麻&梅&青じそ、ねぎ&胡麻&昆布だしが取り上げられていた。
私の好みは、圧倒的に白焼きにわさび&醤油だ。
店主の山﨑さんにそれを伝えると、「酒飲みだね。(笑)」と言われた。
20歳になりお酒が飲めるようになったが、まだお酒の魅力に気づけていない。
鰻をおつまみとして捉えるのは申し訳ない気にすらなっている。
むしろ、今は私自身が鰻に呑み込まれている気がする。
続いて、鰻寿司(2,280円) を注文した。
口に運んだ瞬間から、もはや私の意識はない。
こんなにおいしい食べ物を、口に運んでいいのだろうか。
庶民の私が、軽率に口に運んでいいのだろうか。
「幸せや・・・」
幸せだ。
贅沢なことは言わないから、3年に一回くらい食べたい。
このためなら1週間断食生活だってできる。
(絶対お金持ちになろう。将来は、好きな時に食べられるようになろう。)
そう強く、心に決めた。
うなぎ専門の店 志ぶきの店舗ページはこちら
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大村酒店
旅も終わりに近づいている。
最後にお土産を買いに、大村酒店にやってきた。
大村酒店は主にお酒を取り扱うお店だが、舘山寺のアンテナショップとしてお土産も販売している。
入ってすぐ目に映ったのは、オレンジジュースだ。
しかも、試飲できるとのこと。
3種類のみかんジュース(陽だまりミカンジュース、青島、早生)を飲み比べ。
正直、オレンジジュースの違いなんてわからないだろうと思っていた。
しかし、甘さも舌触りも飲んでみると全く違う。
一番人気と謳われる「青島」は他に比べ、柔らかく舌に伝わっていく。
完全に好みにはなるが、私は「早生」の甘さ加減が好きだった。もう残り在庫数も少ないそうなので、ぜひ今のうちに。
「最近入荷したんですよ、これ。」
大村さんが何かを取り出す。
「あ!」
(!!)
(志ぶきの店の前にあったうなぎ地蔵だ!)
うなぎ地蔵の箸置きは前から存在したが、直立する置物は最近生み出されたらしい。
手作りなので一人一人顔が違い、選ぶのが楽しい。
「この子にします!!」
皆それぞれ選んだうなぎ地蔵フィギュア(一個500円)を購入し、家に飾ることにした。
エピローグ
お土産が買えて、これで舘山寺さんぽは終わりだ。
ノスタルジックな建物たちが創り出すどこか懐かしい空気感は、過去にタイムスリップしたような感覚にさせてくれた。浴衣でそこを歩くことによって、よりその感覚が強化されたと思う。
ルーベラに戻って着替えを行う。
「楽しかったですか?」
「はい!たのしかったです!」
全員で声を揃えて答える。
旅はいつも刹那的だ。
あっという間に過ぎ去って、朧になっていく。
思い出に浸る暇もないまま、現実へ引き戻される。
家に帰ったら、楽しかった今日のことも、舘山寺のことも、忘れてしまうのだろうか。
(明日から、どう生きていこうか。)
いつの間にか蝉が鳴き止んでいる。
斜陽が赤く町を包み込む。
影が伸び、重なっていく。
この町はこれまでずっと、この場所に、力強く佇み続けてきたのだ。
そんな姿が、僕らの明日を肯定してくれる。
(またここに来よう。)
目まぐるしい日々の中で、今日を思い出すことがある限り、
舘山寺はいつでも、いつまでも、
僕らを待ってくれているはずだ。
(記:瀧井厚征)
素敵な記事でしたね!最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
学生のみなさんが舘山寺門前通りを楽しんでくれたことが伝わって、とても嬉しいおじさんです。
舘山寺門前通りの新たな魅力を教えていただいて、私もいつもの舘山寺門前通りをまた違った目線で楽しめそうです!
みなさまも、浴衣での舘山寺さんぽはいかがでしょうか?
今回協力してくださった学生のみなさま、取材から撮影、執筆と本当にありがとうございました。
次回の舘山寺さんぽもお楽しみに!
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